成功するプロジェクトの秘訣は「明確さ」
プロジェクトが混乱に陥る瞬間について、ちょっと考えてみましょう。
新しいプロジェクトが始まるとき、最初は誰もがワクワクしています。チームの目標も明確で、クライアントも満足。スケジュールはタイトだけど、何とかなる――そんな気持ちでスタートすることが多いのではないでしょうか。
ところが、現実はそう甘くありません。
スコープは何度も変更され、締め切りはどんどん厳しくなる。
「更新したはず」と誰かが言っても、そのファイルが見つからない。
気づけば、複数のメンバーが別々のバージョンで作業していて、クライアントから「これ、違うんじゃない?」と指摘される。
ストレスが増し、チームの士気は下がり、あれほど希望に満ちていたプロジェクトが、気づけば混乱の渦に――。
そんな経験、ありませんか?
なぜ「混乱」は起きるのか?
プロジェクトを混乱させたいと思う人はいません。小さな「認識のズレ」や「伝達ミス」が少しずつ積み重なり、やがて大きな問題へと発展していくのです。ちょっとした伝達漏れ、曖昧な引き継ぎ、これらが連鎖し、手戻りや誤解を生み、最後には「信頼の欠如」にまでつながります。
Economist Intelligence Unit *1 の調査によると、
-
プロジェクトにおける課題の約半数は、コミュニケーション不足が原因
-
商談のおおよそ5件に1件は、認識の不一致や伝達ミスが原因で失注
「混乱」は時間が無駄になるだけでなく、「関係性」までも壊してしまうのです。
*1 世界的な経済誌「The Economist」の関連会社であり、経済・政治・産業・市場に関する調査・分析・予測を行う調査機関
解決のカギは、2つの「C」
プロジェクトで重要なのは、以下のふたつです。
Clarity(明確さ)+ Collaboration(協働)
これらを単なるスローガンとして掲げるのではなく、日々の行動として実践することが必要です。
「Clarity(明確さ)」とは、プロジェクトメンバーが推測で行動することがないように「記録」することです。決定事項を文書化し、「誰が・何を・いつまでに」行うかをはっきりさせることです。
「Collaboration(協働)」とは、ただミーティングを増やすことではありません。必要なときに、必要な人を巻き込み、問題が大きくなる前に小さな疑問を共有することです。
トラブルが一切ないプロジェクトが優れたプロジェクトというわけではありません。「トラブルをうまく乗り越える仕組み」があってこそ、プロジェクトがうまく進みます。
もうひとつの成功のカギは「共感」
多くの人が見落としがちなのは、協働とは「タスクを分担すること」ではなく、「相手の立場を理解すること」だという点です。
多くのプロジェクトでは、営業はクライアントの信頼を守ろうとし、デザイナーやエンジニアは図面の品質にこだわり、プロジェクトマネージャーは予算とスケジュールの両立に奮闘し、クライアントはただ、自分たちの課題を解決してほしいと思っています。
この「それぞれの想い」を理解したとき、「共感」が生まれ、チームが変わります。
- デザイナーにとって、「バッファ時間」は“保険”ではなく、“品質を守るための大切な時間”
- エンジニアにとって、「すぐ直して」は“簡単な対応”ではなく、“システム全体に影響しかねないリスク”
- 営業にとって、「細かな修正」は“こだわり”ではなく、“信頼を守るための努力”
- プロジェクトマネージャーにとって、「スケジュール」は“制約”ではなく、“チームを前に進めるための道しるべ”
- クライアントにとって、「ちょっとしたお願い」は“わがまま”ではなく、“課題を解決するための重要な要望”
このように、少し立ち止まって「この人にとっての成功とは何だろう?」と考えると、その瞬間、相手を“障害”ではなく“仲間”として見られるようになり、プロジェクトはうまく回ります。
プロジェクト成功の裏ワザ:誰でもがプロジェクトを主導できる
『マネージャー』や『ディレクター』といった立派な肩書きがなくても、状況や考え方を整理し、全員が同じ理解を持てる状態にすることは誰にでもできます。
- プロジェクト開始時に期待値を共有する
- 重要情報を整理するテンプレートを作る
- バージョン管理を徹底して重複作業を防ぐ
- 誰も触れない(面倒になりそうな)課題に踏み込む
- 実装後に振り返りを行い、次に活かす
リーダーシップは、役職や肩書きのことではありません。それは「あり方」や「考え方」です。チームのかたわらで、誰ひとり混乱の中に取り残されないようにすること――それが本当のリーダーシップです。
これからどう進むべきか
混乱は避けられません。でも、混乱の“結果”は変えられます。
複雑なプロジェクトでは、混乱はある意味で当たり前。しかし、「混乱=失敗」ではありません。
大切なのは、明確さ・協働・共感をもって混乱を整理し、チーム全員で前向きに解決へと動くこと。そうすれば、信頼が生まれ、創造性が守られ、納期通り、プロジェクトを完了できます。
混乱を整理して明確さに変えることは、誰にでもできます。そしてそれができたとき――そこから、最高の結果が生まれます。
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